「新人王」候補:マルコム・ブログドン/Malcolm Brogdon

NBA2016-17シーズンは、レギュラーシーズンが終了し、いよいよプレイオフに突入しました。
レイオフで激闘が繰り広げられる一方で、シーズンMVPなど、個人賞の行方についても、議論が盛り上がってきました。
そこで、今回は、「新人王」候補のひとり、マルコム・ブログドンミルウォーキー・バックス)について書いていきたいと思います。

 

「新人王」

今季のルーキーは、全体1位指名のベン・シモンズ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)が怪我で全休し、さらに、2年間の全休の後、今季ついにデビューしたジョエル・エンビードシクサーズ)も、シーズン途中に故障でリタイアしたことなどもあり、全体的に小粒な印象になってしまいました。
その中でのトップということで、「新人王」と括弧付きにはしましたが、それはそれとして、非常に良い選手です。
本来であれば、新人王というのは、フランチャイズビルダーとして、そのチームを引っ張っていくような、スーパースター候補の選手が選ばれるもので、ブログドンはそういったタイプの選手ではない(と思う)のですが、何にせよ、素晴らしい選手であることに変わりありません。

 

経歴

2015-2016シーズンには、ACC(Atlantic Coast Conference)史上初となる、同一シーズンに最優秀選手賞と最優秀守備選手賞のダブル受賞を果たしています。
勉学にも力を入れ、歴史学の学士号および公共政策学の修士号を持っています。
大学時代に着けていた背番号「15」は、同大の永久欠番になっています。

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プレイスタイル

確かな基礎に裏打ちされた巧みな技術を持っている選手です。
精神面も成熟していて、ルーキーらしからぬ、賢明なプレイをします。
大学時代にカンファレンスの最優秀守備選手賞を獲得していることからも分かるように、守備力も高いです。
高精度の外角シュートも備えています。
フリースローも高確率です。
身体の使い方が上手く、右手も左手も同じように使えて、ドリブル一つひとつが強く、スピードのコントロールが巧みで、マッチアップ相手からしたら、非常に守りにくい選手だろうな、という印象です。
身長196cm、体重98㎏と、ガードとしては十分なサイズがあり、しっかりとビルドアップされていて、その辺の、「才能はあるんだろうけど、まだまだ身体の線が細くて、NBAレベルでは力負けしてしまい、本格化するのは数年後だろう」といったルーキーたちとは違います。

全ての技術を高い水準で兼ね備えており、今季ルーキーながらトリプルダブルを達成した試合もあります。

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マインドセット

技術の高さやフィジカルの強さはもちろんですが、彼の一番の良さは、何よりも、精神的な成熟度、安定感、そして、強さにあるように思います。
下のリンクは、ジェイソン・キッドHCのオフィスを訪れ、カワイ・レナードとのマッチアップを直訴した際のことが書かれた、ブログドンの精神面の特徴がとてもよく分かる記事です。

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技術やサイズも大事ですが、何よりも大事なのは、ブログドンが持っているようなマインドセット(考え方、思考様式)です。
技術面、精神面、すべてを含めた総合的な能力で、彼を上回る選手はそうはいない筈です。
既にNBAトップクラスではないかとさえ思います。

マルコム・ブログドン、十分に新人王の資格があるのではないでしょうか。

 

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